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PRESENTED BY HIROQUI TOTORI






  







INDEX
第1章
○●用具●○

ウ) フレームのセッティング
エ)     ウィールの選択
オ)    ベアリングの種類
カ)ベアリングのメンテナンス
キ)     ブーツについて
ク)  おまけ・靴紐について
ケ)   おまけ2・大会では

第2章
○●スケーティング●○
ウ)        基本姿勢
エ)   基本滑走・基本練習
オ)        足の運び
カ)     ダブルプッシュ
キ)   レースのテクニック

第3章
○●道具●○
ウ)          工具















\/\/\/\/\/\お父さんお母さんと一緒に読みましょう/\/\/\/\/\/

第1章
○●用具●○

ウ) フレームのセッティング


@ フレームのセッティングは用具の設定の中で最も重要です。それによって走り自体が変わってくるので、気がついたらすぐこまめに設定を調整しましょう。

A フレームを置く場所の基本は、足の裏で一番安定しているラインです。例えば、床に一本の棒を置いてその上に片足でのっかります。その時 図-1 に近いラインが安定するでしょう。具体的には親指のつけ根と人さし指のつけ根の間を通るラインです。床では ×のように後方は踵の真ん中付近に来るでしょうが、実際に設定する時は ○ のように前方に合わせて、あまり斜にならないようにします。

 

B ネジを絞める時は前方と後方のネジを片方だけ一気に絞めたりせずに、両方を少しずつ絞めていくようにします。少しずつ締めながら微調整をしていきます。

C フレームの前後への移動もあります(フレームに穴が複数ある場合)。が、あまり気にする必要はないでしょう。一般的にはフレームを前へずらせば伸びがでてロード向き、後ろへずらせばコーナーリング重視の小さいリンク向きのようですが、中央の穴に固定しておけば十分です


D 最初は感じませんが、スケートが上達するにつれ、左右にミリ単位で調整するようになっていきます。

E 余談ですが、最近はフレーム開発ラッシュです。110mmが連盟で解禁される日も近いかもしれません。これからも様々な道具が出てくるでしょう。

エ)ウィールの選択

@ ウィールの選択は大会に出場する際は必ず考えなくてはなりません。力が拮抗した時に道具の差が一番出るのがウィールの性能差だからです。大会がある時は事前に会場を調べ、その路面に最適なウィールを用意しておきましょう。事前の情報収集はネットの掲示板やスピードをしている人に聞くのが一番です。

A ウィールを選択するに当たり2つのことを考えなくてはなりません。1つは硬さ、もう一つはウィール自体の特性です。ウィールの大きさは、小さい方が良いということはないので、フレームに入る最大のものを使いましょう。

B 硬さは「××」とウィールに書かれています。数字が高いほど硬く、低ければ柔らかくなっています。スピードで扱うのは78A〜86Aくらいです。が、80A未満を使うことはあまりありません。ウィール選択の基本は「食いつく限り一番硬いもの」です。ウィールの「伸び」と「食いつき」のバランスの限界を感じとりましょう。また、限界点はスケーティングの上達によって上がっていきます。最初は柔らかめのものをつけ、大丈夫だと思うようになったら、より硬いものをつけていくようにしましょう。

図-2   


C 硬さは路面に合ったものでなくてはなりませんが、同じ路面でも同じ硬さとは限りません。リンクが大きくなれば多少硬くても対応できますし、傾斜がついているバンクでも同様です。以下に各会場での目安を載せておきます。あくまで目安なので各々が自分に合った硬さを考えて下さい。
    ■トラック

成増リンク      78A〜83A
佐久リンク      85A〜?  
千曲川リバーサイド  81A〜84A
岡谷リンク      84A〜85A
大阪の伊丹リンク   83A〜85A
秋田(アイススケート場) 83A前後

          ■ロード

光が丘公園      83A〜85A
道満公園       83A〜85A
渡良瀬遊水池     83A〜85A


D もしも1セットだけしか買わないのであれば、85Aを勧めます。1つあればたいてい対応できます。ただ、最初のうちは80Aくらいでもいいかもしれません。

E 次に特性ですが、これはリンク(トラック)用かロード用かということです。中には明確に分かれていないのもありますが、はっきりわかるものはその特性が少なからず作用するので、選択する際には良く考えましょう。走りには「硬さ」ほどの影響ははありませんが、リンク用のをロードで使ったりするのはもったいないのでやめましょう。

F 例えばハイパー社のリンク用の「GRIP[グリップ]」では、書かれている硬度の伸びを維持しながら1つか2つ下の数字の食いつきを実現させています。

オ)ベアリングの種類


@ ベアリングについては、よほど悪いものでない限り大きな差はありません。けれど、やはり良いものの方が良いでしょうし、メンタル面でもプラスになります。こだわりたい人は良いものをつけましょう。
   
B ベアリングはその性能によってランク分けされています。その指標は「ABEC」で表されます。ここに1、3、5、7、、、、と数字がつき、数の高い方が質の良いものとなっています(図-3)。が、ABEC1でも十分でしょう。

図-3   


C ただ外国のものでは書いてある通りの性能がえられないこともありリスキーです。日本製が安心です。だいたい8千円くらいでしょうか。

D それらに加え最近では「ミニベアリング」図-4 が登場してきました。これは文字通り小さいベアリングを使ったもので、アダプターをはめてウィールにつけることで軽量化をはかっています。これには日本のJMのものと海外のメーカーのものと2種類ありますが、規格が異なるようなので気をつけましょう。



E 注意したいのは購入の際に内径を間違えないことです。ローラースケートとインラインスケートでは内径が異なります。気をつけましょう。インラインは8@ローラースケートは7@です。まあシルバーフォックス以外でローラースケートを扱う店は知らないのできっと大丈夫でしょうが。

F メンテナンスの際に気をつけたいのが、グリス使用かオイル使用かということです。グリス使用のベアリングにオイルはかけない方がいいでしょう。

カ)ベアリングのメンテナンス


@ ベアリングは消耗品ですのでメンテナンスをしなければすぐに使えなくなってしまいます。特に雨の試合や練習の後には念入りにやりましょう。といっても何も難しいことではなくて、ちょっとした手入れで十分もちます。物に対する思いやりが大切です、よく働いたベアリングに感謝を込めて洗いましょう。但し、ここで紹介するのは僕流です。

A ベアリングは日頃からこまめに見ていればそうそう死ぬものではありません。ただし、丁寧にやりすぎるとやってられなくなるのでほどほどにしておきましょう。メンテの基本は「拭く」「油をさす(オイル使用の場合。オ-F参照)」です。まず布で泥汚れをしっかり拭き取ります。それから、オイルを隙間に2、3滴たらしてやります。しばらく放置した後、布にぽんぽん叩き付けたり、手で回したりして中の泥を吐かせましょう。吐ききったと思ったら、またオイルをさして完了です。(洗う際のオイルはなんでも構いません。CRC-556とかでも丈夫ですが最終用としては柔らかすぎるので、その場合はよく乾かしてからスピード用のオイル(NINJA OIL¥1000など)をさしましょう。)この程度で十分です。
B 雨の日の後で全く動かなくなってしまったら解体して洗わなければなりません。その場合には 図-5 のようにしてシールドを外し中のボールを片側に寄せて取り外します(図−6)。



 洗剤にはガソリンやオレンジパワー、CRC-556(詳しくはアースビートのHPへ行けばわかると思います。)などを使います。部品と洗剤を容器に入れて振ります。あとは乾かして組み立て、オイル(お勧めはJMの「NINJA ULTRA SPEED OIL」13N/¥1000)かグリスをさします。この方法でやるとシールドは再使用できなくなるので新しいものをはめる必要があります。シールドは市販のJMのプラスチックシールドが便利です。神田のインラインを扱うスポーツ用品店においてあります。


キ)ブーツについて

@ ブーツは最も工夫が必要な用具です。最初からぴったり足が合うならば構いませんが、たいていの人は外国人向けに作られた靴型に合わず靴擦れしてしまいます。それを防止するには幾つかの作業が必要です。
A 一つにはパッチをあてる方法があります。これは、厚さ2〜5@・直径2〜3Bの輪っか状のウレタンをあてて、傷口を靴と触れさせないようにするものです。既に靴擦れしてしまった時にも使えるでしょう。


B もう一つの方法として、靴の形自体を変形させる方法があります。


用意するもの 1000W以上のドライヤー
^ まず、変形させたい箇所にドライヤー(熱)を5分間あてます。その際注意するのは、靴から10B以上離すこと焦げます。
_ 靴が(ゴムのように?)柔らかくなったら、急いで足を入れ、紐をしっかり上まで絞めます。普段のようにかそれ以上のきつさで。そのまま10分待ちます。
` 10分経ったら靴を脱いでも構いません。が、完全に固まるまで1時間はかかるのでその間重いものを上に乗せたり、投げたり、たたいたり、食べたりしないようにしましょう。
靴の内側は燃えやすいので絶対に熱をあてないでください、とのことです。

C その他に、靴を広げるために硬いボールをずっと中に入れている人もいます。(効果は謎)


D 普段の手入れの方法も紹介しておきます。これもSIMMONSからです。
^ 靴の外側はかたくしぼった濡れタオルで拭いてください。
_ レザーの手入れは靴屋の市販のミンクタオルで。
` 靴の内側は陰干しで、常に乾燥した状態にしてください。
※ 湿ったままバッグに入れっぱなしにしておくと、恐ろしいことになります。壊れやすくなります。
僕はやったことないです。

E 靴下に関してですが、靴擦れに対しては二重になっている靴下だと摩擦を緩和してよいようです。僕自身はかなり薄手のソックスです。


ク)おまけ・靴紐について


@ 靴紐というのは往々にして適当になりがちですが、探してみるといろいろとあります。足を安定させるためにはきつく結ばなくてはなりませんが、きつくし過ぎると体が強ばってしまいます。また、短距離であれば多少きつくても構いませんが、長距離では血の巡りが悪くなると致命傷になりかねません。こだわることで速くなるかどうかはわかりませんが、そこまでやればより道具に対する信頼や愛着が出てくるでしょう。

A 経験上、くるぶし付近の造りがしっかりしている靴であれば、足を三つに分け、つま先は緩く、真ん中はきつく、足首はやや緩めというのがいいのではないかと思います。実際にはそれほど細かい調整はできないので、まあ気分的なものですが。(図-7)



C では、具体的に見ていきましょう。ここでは僕が覚えていて実際に使っているものを紹介します。他にもいろいろありますのでスポーツ系の雑誌などで調べてみるとよいでしょう。図-8を見て下さい。

図−8   

a)長時間ほどけにくい結び方
b)短距離向きらしい
c)長距離向きらしい

D 以上の3つですが、これを組み合わせたりすることでまた変化していきます。例えば僕の場合、下から2/3までをa、残りをbにしています。下部はきつさを持続させ、足首回りは多少緩めにしています。

E 同じ要領でa-cを組み合わせたり、b-cを交互にしたり、きつくしたいところだけaにしたり、と組み合わせはいろいろできます。試行錯誤して自分の足に合った組み合わせを見つけましょう。組み合わせは図-7のように3分して考えてみるといいでしょう。

F 紐の結びに関してですが、僕自身は二重結びをしていました。これは蝶々結びの輪っか同士をもう一度結ぶものです。シューレースカバーのない靴では紐がほどけて転ぶ危険があるのでこういったことをするべきでしょう。また、ある雑誌に載っていた結び方はきつくするのに有効なようです(図−9)。



G 現在世界の主流は靴紐に甲部分のバックルです。主だったメーカーのほとんどが同型のモデルを発売しています。そしてそのバックルの位置こそがきつく絞める部分なのです。僕のもバックルですが、最新のものは初期のものより若干上に来ているようです。メーカーによっても異なります。また、甲部分に重点を置くのはあくまで足首部分の造りがしっかりしていることを前提としています。もしその部分が柔らかく不安定なようであるならば、そこはきつく絞める必要があります。


ケ)おまけ2・大会では


@ 大会にはできるだけの用意をしてのぞみましょう。前日までに、ウィールの選択、ネジのゆるみのチェック(特にフレームを固定するネジは要チェック!)、紐が切れそうじゃないか、メット(忘れる人もいますしね)等レースに必要なものを確認しましょう。

A また、会場付近の気候も重要です。雨が降りそうなら雨具はもちろん、レース後に冷えないようにホカロンや大きめのタオル、用具がいたまないように拭くタオル、ベアリングの手入れ用のボロ布(靴下なんかが便利)等が必要になります。

B 佐久や千曲川などの灼熱地獄では傘が重宝します。雨傘を一本もっていけば、変わりやすい天気にも対応できますのでお勧めです。敷物も重要です。レースの合間にいかに体力を回復するかが次のレースに影響します。必需品といえましょう。また、会場はトイレがプレハブであることが多いのでトイペを1、2ロールもっていくととても便利です。こぼれたジュースを拭いたりにも使えますしね。

C 逆に渡良瀬など寒いところでは風よけになるものがあると便利です。毛布があればとても助かります。

D メットに貼るシールは軽くつけときましょう。きれいにぴったり貼るとあとでとるのが大変です。

E 秋田のマラソンや佐久リンク、岡谷リンク、千曲川リンクなどの明るいところ、渡良瀬などの風邪の強いところではサングラスが要るでしょう。













第2章
○●スケーティング●○

ウ)基本姿勢


@ 基本姿勢はスケーティングの中で最も重要です。これが一番安定している姿勢だからです。この姿勢で走ればとっさのダッシュも、転びそうになった時も、即座に対応できるのです。鏡の前などでチェックするようにしましょう。

A 基本姿勢は説明しづらいのですが、図-10のような感じです。全く正確にする必要はありませんが、おおよそ肩(〜胸)・膝・つま先が1つのライン上に来るようにしましょう。一番注意しなくてはならないのは、重心の位置です。重心は足の裏で感じますが、土踏まずのあたり、中心で感じるところにもってきましょう。今まではとかく前のめりになりがちでしたので、中心からむしろ踵にかかりそうなぐらいでちょうどよいかもしれません。



B また、関節はこれまで「姿勢を低く」するために腰を強く曲げがちでしたが、優先順位から言えば ^足首 _膝 `腰 です。腰は必要に応じて曲げ伸ばししましょう。ゆったり走る時は楽に、ダッシュする時は低く。その代わり足首はできるだけ曲げているようにしましょう(図-11)。足首を曲げることで、膝の角度がそのままでも、より楽に前傾することができます。足首が曲がってない状態で膝を曲げると太ももに負担がかかります(図−12)。

 


C 基本姿勢では「上体のぶれ」がないことが大切です。ぶれると力が余計な方向へ逃げていってしまいます。上下のぶれを押さえるのと同様に左右のぶれもコントロールしましょう。皆さんの多くが走ってる時フラフラしているように見えるのは、腰から上だけが左右に移動しているからでしょう(図-13)。図の右側のようにするには意識としては腰(おしり)から振り込む感じになります。そうすれば腰から上は勝手についてきます。ここは基本姿勢の中でも最も重要且つ難しいところです。陸上での練習が効果的です。




エ)基本滑走・基本練習


@ 基本滑走は全てのもとになる滑りです。これができていなければいくら力一杯ダッシュしても速くはなりませんし、持続しません。退屈な練習かもしれませんが、速くなりたい人はがんばりましょう。ここでは順に見ていくことにしましょう。

A STEP-1 片足で滑る 
…勢いをつけて片足でリンクの端から端まで滑りましょう。真直ぐ滑るのがポイントです。足首も地面に垂直に!
  STEP-2 片足で屈伸しながら滑る 
…STEP-1に屈伸動作を加えましょう。足首をよく曲げること!
  STEP-3 片足でこぐ(初級編) 
…急に難しくなります。直線に沿って、後ろ足は先端の車輪だけ地面につけも構わないので、前足だけでSの字を書いてこぎましょう(図-14)。
  STEP-4 片足でこぐ(上級編) 
…STEP-3の後ろ足を地面から離します。無理ならばとばして次へ行きましょう。そのうちできるようになります。
 STEP-5 片足でこぐ(クロス編) 
…片足のクロスのみで進みましょう(図-15)。
  STEP-6 基本のスケーティング 
…これだけでもいいですが(図-16)実はSTEP-5までとは少し違います。^_`a一つ一つの動作をしっかり区別して、できるだけゆっくり行いましょう。一動作2秒くらいはかけて。





B 裏STEP-1 ひょうたんを描く 
…いつものひょうたんとはちょっと違います。INにすぼめる時アウトエッジをかけましょう。


  裏STEP-2 ひょうたんをずらす 
…裏STEP-1の要領で描きながら、足を前後にずらしましょう。
  裏STEP-3 片足で押す 
…裏STEP-2の後ろ足を浮かせてしまいましょう。
  裏STEP-4 内側のプッシュだけで進む 
…ここまでくればきっとわかるでしょう。やることは裏STEP-3と一緒です。「進む」気でやってみましょう。

C STEP-7 ゆったりクロス
…直径2、3mの円を一周かけて一回クロスしましょう。1/3周を左足で滑り、1/3周かけてクロスさせて、1/3周を右足で滑ります。


オ)足の運び

@ 足の運びは最近ちょっと独特です。基本の項に入れても良かったのですが、あえて分けました。前述の基本滑走・基本練習でも使います。

A 基本となる足の運びは直線の走りもカーブの走りも同じです。キーワードは「」と「」。どちらを行う際も常に基本姿勢をとって下さい。インラインは履いておいてください。  

B まず「B」ですが、形は図-18を見て下さい。これは後ろに来る足の処理の仕方を練習するためのものです。片足を押し出し、半円を描きながらもとへ戻ってくる。実際に走る際には少し変化しますが(後述)、基本はこれです。注意したいのは押し出した時に重心まで移動しないことです。重心は常に図の足のある位置に留まります。それができていれば、押し出した時に、出した足がいつでも宙に浮ける状態のはずです。足を浮かしたままやるのもいいかもしれません。やる際にはもう1人と向き合って、手をとって支え合ってやってみましょう。但し、できるだけ相手の手に頼らず、自分のバランスをコントロールしてやりましょう。

C 次に「D」です(図-19)。これはより深く長く押し込むことでより大きな力を生み出そうというものです。押し出した足が軸足よりも前に来るぐらいまで押し込みます。この時、ポイントは踵に重心をおいて押し出すことですが、あくまで半円を描くことを優先して行います。ウィールはずらないで、自然に進む方向へもっていきながらなめらかに力を加えていきましょう。この練習も進まずにその場で行います。クロスの時も同様に後ろ足を前までもってきてください。

 



カ)ダブルプッシュ


@ 「ダブルプッシュ」というのは、ある種のフォームを指します。このフォームはチャド・へドリックという世界のトップスケーターによって形成されました。そのネーミングは、片足のワンストロークの間に2度押しているように見えることからつけられました。その走り方によりチャドは世界一の座を維持し続け、他のトップスケーターも一斉に取り入れて好成績を上げています。スピードでローラースケートにインラインがとって変わったのと同じように、今や世界はダブルプッシュです。それほどに強力な走り方だと言えましょう。ここまでの練習ができればある程度はできるでしょうが、今後も常に積極的に外の情報を取り入れていく必要があります。

A ダブルプッシュの基礎練習は「基本滑走・基本練習」のSTEP-1〜5、及び裏STEP-1〜4があたります。初心者は裏STEPの方がやりやすいでしょうが、特定の筋力を鍛えるにはSTEPをやるとよいでしょう。但し、やり過ぎは故障のもとですので控えましょう。極端なトレーニングは体に負荷がかかる上、それに見合った成果が得られません。適度なトレーニングが最も効率的です。

C では、ダブルプッシュの足の軌跡を見てみましょう(図-20)。見てわかるように、一旦足をまっすぐに置いてからアウトに倒して、それからフラット→インとなって最後は前へ来るまで押し続けています。この最初にセンターラインを越える押し出しこそがダブルプッシュの最大の特徴なのです。



D では、図-21を見てください。これはダブルプッシュの一連の動作を模式的に表したものです。^→_→`→a→b→_の逆→`の逆…と続きます。順番に見ていきましょう。まず^は右足で押し終わる直前、左足を地面についたところです。ついた足はセンターラインより若干左にあります。そしてついた瞬間はほぼフラットです。_では右の押しが終わり、左足はIN側に押し始めています。`に行くと左足は完全にセンターラインを越え、IN側プッシュの極値にあります。アウトエッジがかかった状態です。この時腕の振りもめいっぱいのところにきます。そして右足の処理ですが、理想は左足の真後ろかより左に来るぐらいの位置まで振ってきます。aは右足を戻してきたところです。ここまでの足の運びは前述の通りです(「足の運び」BC参照。ただし多少異なる)。bでは再び足をついたところで、右足はフラットにきています。



E これだけでは説明不十分ですが、感じはわかったのではないでしょうか。ただし「百聞は一見にしかず」、自分で理解するにはビデオや全日本・東日本等でのトップスケーターの実際の走りを注意してみて見つけていくのが一番です。速くなりたければ多くの人から学び取ることが大切です!


キ)レースのテクニック


@ では実際のレース中に僕の経験から注意したいこと・アドバイスをあげておきましょう。

A まず心構えから。はっきりいって大会にでられるというのはそれ自体かなりありがたいことです。出られるうちに出ておきましょう。後になればなるほど出にくくなりますし、もしかしたら出られなくなることだってあるのです。ケガをすれば当然出られませんし、ジュニアの大会は年齢制限があります。またスピード選手としての生命は短いものです。専念できるのはせいぜい大学までですし、ピークもその付近に来るでしょう。勝つか負けるかは出てからの話、出場しなければ負けることすらできないのです。当然勝つこともありませんね。そしてもう一つ付け加えるなら、一試合で学ぶことは普段の練習の何倍にもなりますし、試合でしか学べないことも沢山あります。特に、多くの人はスピード練習よりもホッケー練習の方が好きでしょうが、それはスピード種目の楽しさを味わったことがないからでしょう。僕に言わせれば全くもったいない限りです。また試合に出ること勝つことは一つの目標として達成感もあります。今までやってきたことの印として一生残ることとなるでしょう。+出るなら早いうちがいいです。近年は低年齢化が進み、中学生でも全日本の上位に入ります。そんなところへいきなりポンと出しても楽しくはないでしょう。小さいうちから全国で友だちをつくって互いに刺激しあえたら素晴らしいとは思いませんか? それから、レースに出場する以上は絶対に勝つこと、優勝することを目標にしましょう。でなければ勝てるはずもありませんし、またその試合に向けて勝つために綿密に調整を行って真剣に臨んでる他の選手達に対して失礼ではないでしょうか。全力で向かってくる相手には全力で向き合いましょう。

B それでは具体的なレース運びについて個別に見ていきましょう。まずスタートのしかたです。短距離でスタートはレース結果に直結します、生命線といってもいいでしょう。長距離でも良いスタートをすれば位置取りを優位にすすめることができます。スタートの形は様々ありますが、現時点でベストと思われるやり方を説明しましょう(走り方は常に変化していきます。特にスタートにかんしては何種類も出てきました)。これは、元日本チャンピオンの高萩選手からのものです。彼は日本で最もきれいなインラインスケーターの一人でしょう)。では下の図を見てください。棒が倒れる時、エネルギーの性質が変わりますね、位置エネルギー→運動エネルギーと。すなわち上で貯えられたエネルギーは、棒が地面に倒れる直前の瞬間に最大限運動エネルギーに変換されます。この運動エネルギーを利用して飛び出すというのがこのスタート方法です。理論上その地点で前に動き出せば、最大限の力が引き出されるわけです。しかし、実際にはそこまで行ったら地面にぶつかるだけなのでスタートなんてできません。実際には右の図の`〜aの間あたりで飛び出すことになるでしょう。



C ではスタートのフォームを見てみましょう(図-23)。


 スタート直前までは前に倒れないギリギリのところで踏ん張ります。重心は目一杯前に来るため後ろに残る右足は完全に伸びています(ムリに伸ばすことはありませんが)。腕なんかは好みでアレンジしてください。そして、気分的には津波のように上から覆いかぶさる感じで倒れていきます。もう耐えられないというギリギリのところまで倒れたら一歩目の右足を踏み出します
D スタートはタイミングが命です。どんなにスムーズにスタートしてもみんなが行った後では意味がありません。そのために何度もタイミングをはかる練習をしなくてはなりません。特に、全日本・東日本の大会でスターターをやる大矢審判のスタートは独特なので気をつけなければいけません。レース当日は、自分のスタートの番が来るまで、他の人のスタートの号砲に合わせて空きスペースで練習しましょう。もう一つ重要なのは、ピストルが鳴った時点でスタートラインの内側に片足さえ残っていればいいというルールです。このルールを最大限利用しましょう。そのためには、「ようい」で倒れ始めます。そのタイミングでいけば大丈夫ですし、またフライングは通常2回まで許されます。多少早すぎるくらいでも人の目はごまかせるので大丈夫です。それから、このスタートの良い点はもう一つあります。最初から前に重心があるため、倒れきる前に号砲が鳴っても出遅れが少ないという点です。一旦後ろに引いてから反動をつけてスタートする方法もありますが、それでは号砲の鳴るベストのタイミングは一点しかありません。それに対しこのスタートでは線のように連続してあります。また後ろや左右にスペースを必要としないため、長距離の密集したスタートでも十分使えます。反動をつけるものももちろんタイミングさえあえばいいスタートができます。



E 次に腕のふりについて見てみましょう。これは大したことではありませんが。志村では特に腕のふりが弱いことが多いです。そのため大会等で全力で走る時、ぎこちなくなってしまいます。ですので、普段から積極的に振っていく必要があるでしょう。腕の振りは反動をつけて体を前に引っ張っていくためのものです。そのためには直線では前に前に振っていかなくてはなりません。前に来る手を顔よりも頭よりも前まで振っていきましょう。コーナーではむしろ右腕だけでも構わないくらいです。左は脇のあたりで小さく振りましょう。そして右腕は真横よりも前で振ります(図-25)。



F 試合時のライン取りについても見てみましょう。レースをすすめる上でどのラインを走るかは大きく影響してきます。中盤での駆け引きや体力の消耗しないラインどり、終盤では後ろから迫る相手をいかに押さえるかなどいろいろと考えられます。基本的には「アウト-イン-アウト」だということを覚えておきましょう。そしてさらに見ていくと、下の図を見てください。いいラインは黒のラインです。薄い灰色のラインは、比較のために書いたものでコーナーの入り口で折り返して入っていきます。しかしこれでは急すぎる上、直線でのスペースが大きすぎるので簡単に抜かれてしまいます。かといってインベタでは疲れます。ですので中盤では黒のラインを目指しましょう。やや早めにコーナーに入って自然に抜けるラインです。但し終盤順位争いの始まった時はインベタを目指し適宜揺さぶっていきましょう。その場合は早く滑ることよりも相手を抑えることが重要です。コーナー出口で膨らみそうであれば、頂点付近にきた時にスピードダウンしてもいいでしょうそうすれば相手はぶつからないように滑らざるを得ず、予め考えていた自分は出口で一気に引き離すことができます


G 逆にライン取りを見ていけばどこで抜くべきかわかりますね(下図)。例えば縦一列の集団になっていてエルミネーションなどが近くて順位を上げておきたい時、少し踏ん張ってコーナー出口からインベタで直線に入ります。そのまま入りたいところの内側まで行けばコーナーにきた時相手は必然的に中に入れざるを得なくなります。アウトから抜くのは大変ですが、インに入ればちょっと走るだけで簡単に入れてくれます。




















第3章
○●道具●○

ウ)工具


@ 工具はいろいろとありますが、究極的には付属のT字型六角レンチ一本で全て事足ります。ネジはウィール用とフレーム用と統一されているので問題ありません。ベアリングを外すのに少し手間がかかりますが。図のように穴から差し入れて裏側のベアリングに掛けて上から叩きます但しこの方法は問題ないかどうかわからないので、どうなってもいいと思う人がやってください。ちなみに僕は良くやりますが今のところ問題ありません。注意したいのはベアリングの縁の部分をたたくということです。シールド部分をたたくとへこんだりするかもしれませんからね。これができれば後は何にもありませんね。